営業には,効率や生産性を上げるためのフレームワークが多数あります.

なかでも法人営業には,ターゲットがある程度絞れるというメリットや商談ステップが複雑であったり,1件の商談で多くの人を相手にしなければならないという難しさなどの特徴があります.また,顧客の社内で複数人が意思決定に関わることが多いため,担当者の考えだけを聞くのではなく,会社として意思決定に関する条件を確認する必要があります.

そこで,商談において有効なヒアリング手法「BANT」を今回の記事にて紹介します.

BANTとは?

BANTとは,Budget(予算)、Authority(決裁権)、Need(必要性)、Timeframe(導入時期)の頭文字から成り立っています.

これら4つの条件について細かくヒアリングし,対策に力を入れれば顧客は成約に限りなく近づくことができます.ではその4つの条件を順にみていきましょう.

 

Budget(予算)

Budgetとは具体的に顧客が商材の購入において想定している予算の金額です.

実際に自社の商品やサービスを購入するための予算があるかを確認することが求められます。こちらの提示する金額を先方が確保できるのか、また確保できるのであればその時期はいつかといった点を把握することが望まれます。

予算の話をする時にはどうしても安く済ませるような交渉になることが多いです。以下の記事では、値引き交渉にならないための営業のステップ、アプローチするべき人についてまとめています。ぜひご活用ください。

値引き交渉にならない営業のコツは3つ!価値を感じてもらう方法とは?

 

Authority(決裁権)

Authorityとは具体的に商材の購入を最終決定する人が誰なのかという、決裁権の所在です。

営業において決裁権を持つ相手にアプローチすることが非常に重要です。しかし,営業活動において最初に接触するのは決裁権のない担当者である場合が多いです。

そこで決裁権を誰が持っているのか確認することが求められます。

決裁権を持っている意思決定者(DMU)へのアプローチのポイントについてはこちら

 

Need(必要性)

Timeframeとは具体的に顧客がどのような課題を抱えており、商材を通じてどのように解決したいと考えているのかつかむことが大切です。

ここで大切なことは,「誰が必要としているか」ということです.担当者が必要性を感じていても,きぎょうとして 必要性を感じていなければ商談として成立しません.

つまり,商談相手の企業の要望と提案する商品やサービス内容が合致しているかという確認を行います.同時に,相手から必要性を引き出すことも大切です.

 

Timeframe(導入時期)

Timeframeとは商材を購入したいのはいつなのか、またいつまでなら間に合うのかを把握することです。

また,商品やサービスの導入時期だけでなく導入時期だけでなく,導入検討から決算承認まで商談ごとに具体的なスケジュールを把握します.導入時期を明らかにすることでお互いに商談などの予定が立てやすくなります.

 

BANTの必要性

BANTは,法人営業におけるヒアリングテクニックです.しかし,ヒアリングテクニックという側面だけでなく,お客さまが成約する理由やどのように成約するのかを理解するという側面もあります.

また,成約率が高い業界や相手の担当部署かという軸とBANTがそろっているかそろっていないかという軸で分けることもできます.このように場合分けを行うことで案件の有望度を図ることができます.

 

BANTが揃わないとどうなってしまうか

BANTの4つの条件がそろわない時,商談はどのような状態に陥るのか確認しておきましょう.これらを知れば,逆説的にこうした事象を回避することができます.

 

Budget(予算)が揃わない場合

決裁者自身に商材を気に入っていただけたとしても,予算の折り合いがつかない,または予算のめどが立たないような状態だと,商談が先延ばしにされてしまうかその場で直ぐに失注してしまう恐れがあります.

 

Authority(決裁権)が揃わない場合

担当者に商材を気に入っていただくことができ,予算内に修めることができたとしても,最終的に決定権を持つ方からNGが出てしますと,そこからの挽回はかなり難しくなってしまいます.

 

Need(必要性)が揃わない場合

Budget(予算)もTimeframe(導入時期)も明確になっており,商談相手がAuthority(決裁権)だとしても,そもそも商材が顧客のニーズに合わなければ絶対に成約には至りません.

 

Timeframe(導入時期)が揃わない場合

導入時期について検討が後回しになってしまった時,それ以上の商談が先延ばしにされてしまったり,「一旦様子をみさせてください」と商談を打ち切られてしまします.

 

BANTを活用するメリット

BANTの活用には様々なメリットがあります.具体的には「成約基準が明確化される」「情報の共有の円滑化」「営業戦略・戦術の立案がしやすくなる」という3点がメリットとして考えられます.

 

成約基準が明確化される

BANTを用いることで,営業の成約基準が明確化されます.また,顧客ごとに成約までの課題は異なります.この成約までの課題を明確に把握することができれば,案件ごとにどのようなアクションを取るべきなのかがおのずと明らかになります.

成約までの課題を把握しても、各営業フェーズで気にすべきポイントは異なります。以下の記事にてフェーズごとのポイントをまとめたのでぜひご活用ください。

「商談の見極め」〜「成約」までの各営業フェーズでのポイント!初回商談からの案件化率を向上させよう

 

情報の共有の円滑化

BANTを用いることで,営業内での共通認識を持つことができます.そして社内での情報共有が可能となり,営業活動を管理しやすくなります.

 

営業戦略・戦術の立案がしやすくなる

明確な基準で案件が管理されているので全体の営業戦略の立案もしやすくなります.

つまり,BANTを主にそれぞれの案件に対して,最適なアプローチを組織として行うことが可能になり,成果を出すことにつながります.

 

【注意】BANTは突然変化することも

商談後にBANT条件が揃ったとしても,油断は禁物です.突然BANT情報が変化することがよくあるため,たとえ初回商談時にBANTが揃っていたとしても,その後にフォローがないとチャンスを逃してしますこともあります.また,突然BANTが揃ったとしても,営業担当者がフォローをしなかったために状況の変化を把握できず,知らぬ間に競合に負けてしまうこともあります.そのためBANT条件は、案件ごとの成約率を見るだけでなく、マネジメントや営業戦略の立案にも活用できる便利なものです。ぜひ活用してみましょう.

 

まとめ

BANTを確認し、そのパターンに応じて提案をしていくことで商談の成約につなげることができるでしょう。ただし,BANTは便利なツールではありますが,すべてが網羅されているわけではありません.BANTを基礎として,自分のこれまでの経験や色々な方の意見も取り入れて自分のBANTにカスタマイズしていきましょう.

 

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