ラポールとは

ラポール (rapport) とは臨床心理学の用語で、セラピストとクライエントとの間の心的状態を表す。(引用:ウィキペディア)

ラポールとは心理学の用語で、簡単にいうと、「相手との信頼関係」について使われる言葉です。

みなさんの周りでは「ラポールが大事だよ!」「ラポールを築いているか?」などと、使われることはありますか? 営業や販売、恋愛、友達作りなど、信頼関係を作っていきたいときに、意識しているかどうかで変わるものだと思います。

「え、心理学?信頼関係は自然と作られるものだよ」

そう思われる方もいるかもしれません。

しかし、「あの人と仲良くなりたい」「あの人の信頼を勝ち取りたい」と思って、空気を読んだり、気を使ったりして会話をすることは、多くの人があると思います。そういったことに意識をしないと、空気を読めない、信頼関係を作ろうとしていないと見えてしまい、もったいないです。

 

以下、「ラポールを構築するために意識すべきこと」をご紹介させていただきます。

特に「初めまして」の時に、短時間で信頼関係を気づいていくときに、より意識するかしないかで差が出てくると思います。

 

ラポール構築による異なる効果

<ラポールを築いていない>

・営業商談で案内している「商品の効果が他と比べて高い」ことが半信半疑で聞かれ、印象に残らず、購入する気になってもらえない

・部下のために、経験を活かしてスキルを伸ばすなら、転職するよりも部署異動を希望した方がいいと伝えても、聞く耳を持たず退職されてしまう

・今日会った相手に好意を持ったので、持っていたクッキーを少し渡したが、クッキーは嫌いではないが急に渡されても悪いから受け取れないと断られ、不審がられてしまった

 
<ラポールを築いている>

・営業商談で案内している「商品の効果が他と比べて高い」こともこの人が言うならと、すぐに購入をしてくれた

・部下のために、経験を活かしてスキルを伸ばすなら、転職するよりも部署異動を希望した方がいいと伝えたら、親身になって考えてくれたと転職もせず、その後も相談をよくしてくれるようになった

・今日会った相手に好意を持ったので、持っていたクッキーを少し渡したら、少し驚かれたが、クッキーは好きなので嬉しいし、好きなものをくれる偶然から、自分へ興味をもってくれるようになった

  左右の違いの例ほど、大きな違いは出にくいと思う方もいるかもしれませんが、本当に違うんです。

特に、初対面の場合では、この信頼感は無い状態から始めるのが基本です。

いかに速く、この人と信頼関係は作れそうだな、あるな、と思ってもらえるかが、重要なポイントです。

 

ラポールとアイスブレイクとの違い

アイスブレイクとは、初対面の人同士が出会う時、その緊張をときほぐすための手法。集まった人を和ませ、コミュニケーションをとりやすい雰囲気を作り、そこに集まった目的の達成に積極的に関わってもらえるよう働きかける技術を指す。(引用:ウィキペディア)

「初めまして」の時に、意識するスキルということなら、「ラポールのスキル」と「アイスブレイク」は同じでは?何かちがうの?という疑問もよく聞きます。

正しくいえば、「ラポールのスキル」は信頼関係を築くスキル、「アイスブレイク」は初対面の方の緊張をほぐす方法、という意味で、少し違います。

アイスブレイクでは、複数人の初対面の人がいるケースの話も多いので、ゲームをやったりすることも含まれてきます。

あなたが、特定の誰か(達)と仲良くなりたい、ということであれば、アイスブレイクのネタみたいなものとは異なるラポールのスキルを意識してみると良いと思います。

ラポールのスキル

ペーシング

最もラポールのスキルの中でも重要な基本が、ペーシングです。

これは、「相手の言語、非言語情報に合わせていくこと」です。

つまり、

「相手の言語に合わせていくこと」は、「相手の興味・関心に話題を合わせていくこと」などです。

「相手の非言語に合わせていくこと」は、「相手が話すテンポやトーン無に合わせて話すこと」「相手の動きに合わせていくこと」などです。

相手との話し方や身振り手振りを合わせていくと、相手は無意識に自分と似たような感覚を感じ、親しみを感じやすくなります。逆に、良好な関係の2人は同じ動作をする傾向が高いとも言われています。

(参考)ペーシングの基本となる3つのスキル

  • ミラーリング:動作や姿勢をペーシングする
  • マッチング:視覚情報以外の非言語をペーシングする(話すスピードやトーン)
  • バックトラッキング:言葉そのものをペーシングする(復唱のようなもの)

キャリブレーション

ペーシングをするためには、よーく相手を観察し、相手を理解することが大事になります。 この相手をよく観察し、相手を理解することを、キャリブレーションといいます。 ペーシングを行う前提だと思います。   例えば、仕事仲間に「外出する時にこの封筒をポストに出してきて」と伝えた時に ①「わかりました」と返事をしても、「なぜ自分がいくのか納得できない」「行きたくないなぁ」という表情をされる ②「わかりました」と返事と共に、「そういうことなら任せて」という自身に満ちた表情をされる どちらも経験ありませんか?  

相手の言語と非言語の情報が不一致な時です。

声のトーンや、表情、身振りなどを観察することで、相手をより理解し、寄り添うことができます。

  <キャリブレーションとして、具体的に観察することの例>

  • 表情
  • 姿勢
  • 仕草
  • 足の組み方
  • 呼吸のリズム
  • 抑揚
  • トーン
  • テンポ
  • リズム
  • 声の大小

  まずは、相手の情報を観察し、ペーシングで親近感を感じてもらうことを意識してみてください。

営業商談におけるラポール

ここまで、一般的なラポールについて説明して参りましたが、営業商談におけるラポールで意識することをお伝えして参ります。

お客様の困りごとを聞くにも、自分のサービスを聞いてもらうためにも、まずは信頼関係を早期に構築するのが営業にとっては大事です。

特に、新規のお客様との初めての商談においては、最初が肝心です。

ラポールの前提として重要なこと

  1. 身だしなみ(清潔感)
  2. 話を聴く姿勢(相手に興味があることを示す)
  3. 丁寧に話す(相手にわからない言葉を使わない、偉そうにしない)

営業としてのベースの部分かもしれませんが、ペーシングをする前に、相手に不快感を覚えられるようなことをしてしまうと早期に関係構築をすることが難しくなります。

このあたりは、しっかりと大事にしましょう。

ラポールは営業商談の最初に実行する

商談が終わる頃にラポールを意識しても、関係構築しないままで行った話はラポールしなかった時と一緒です。

「早期に関係構築をする」ためには、最初こそラポールです。

 

「訪問商談の場合」

  • 駅から訪問先までの道のり、訪問先企業の外観、社内風景
  • 受付の方や社内の方々の対応や立ち振る舞い
  • 打ち合わせ相手の身につけているもの、髪型、雰囲気、声など

 

「オンライン商談の場合」

  • オンライン商談参加への慣れ
  • オンライン商談の背景、周りの音
  • 打ち合わせ相手の身につけているもの、髪型、雰囲気、声など

これらの情報は、お客様の情報です。その中で、あなた自身が共感できること、関心したこを話すことも重要です。共通の会話が生まれると思います。

ただし、注意点としては、あなた自身が興味がないことを無理矢理褒めたりすることは、表面的になっているため、相手から見透かされて、逆効果になりやすいので、嘘はやめましょう。

共通の話題ができれば、ラポールもその会話の中で進めることができるでしょう。

ラポールの事前準備までやることが気持ちの良い営業

営業商談の最初にラポールをするために、お会いする中で共感する点を最初の共通の話題にするのが良い、とお伝えしましたが、先方担当者によっては、認識している情報だとしても、興味関心が合わないことがあります。

例えば、

営業「会議室に通していただく際、エレベータで御社と別の階にきましたが、2フロアと広くて羨ましいです」

お客様「あー、そうですか。会議室のために移動をしなくてはいけなくて、不満ばかりなんですよ・・・」

営業「あと、最寄り駅からこちら伺いましたが、桜並木を歩いてきました。この季節は良いですね。」

お客様「私は、おそらく別の駅から来るので、桜並木の方は通らないんですよ。」

過去に実際にあった会話です。

商談の担当者が関心がないと、ポジティブな共感が生まれにくいケースも出てきます。

 

やはり、当日に商談前に目にするもので勝負するのではなく、事前に調べられるお客様の興味・関心をしっかり商談準備として把握して、商談初めの話題にする方が、より確実です。

ある程度の役職者の方とお会いするときは、自社内に情報がなくても、プロフィールや、インタビュー記事、場合によってはfacebookなども公開情報として事前取得することもできます。

サービスの案内だけでなく、お会いするお客様の興味・関心についても、商談準備として行っていくことをお勧めします。

お客様からしても、ちゃんと調べて、私に興味を持とうとしてくれる人なんだ、ということは伝わります。